記録

恨み辛みや裏話

☆グラブルキャラ紹介☆ リリィ


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「大変申し訳ございませんでしたァ!!!」

部長のデスクの前で頭を下げる男が居る。

「これで何度目だ!そろそろ覚悟してもらうからな!」

何を隠そう今叱咤されている男こそが俺だ。

「だいたい君は…」

俺の勤める会社はいわゆるブラック、というもので。

今回のコレもあからさまな無理難題を押し付けられた結果だ。

今に始まった話ではないが。

 

 

「今日も一日謝り疲れたな…」

帰路の最中、一人で愚痴を呟きながら歩いていると、

「…ちょっとくらい良いよな」

ギラギラと存在を主張するパチンコ屋に吸い寄せられた。

 

 

散々に負け尽くし、玄関をくぐる頃には深夜になっていた。

「ただいま」ガチャ

「おかえりなさいなの!」

玄関先の廊下にチョコンと正座して迎えるのはリリィと名乗る美少女。

スラリとした細身に低身長で青白く美しい髪、肌は色白でまさに妖精の様だ。

「ご飯もお風呂も用意できてます!なの!」

笑顔で伝える彼女が、今の俺には少し腹立たしく思えた。

俺が大負けした事を嘲笑っているのではないか?

「…チッ。飯はなんなんだよ」

「うっ…、み、ミートパイなの!リリィ頑張って作っt───」バシン!

下らない事を言い終わる前にシバき飛ばしてやると、何が起こったかわからぬ素振りでいましがた宙を舞ったリリィが震え出す。

「てめェミートパイしか作れねェのか!!!ここ数ヶ月ミートパイしか食ってねェじゃねェかよ!!!」

限界だった。実際彼女と同棲を初めてから三食全てミートパイしか出ていない。

ミートパイは彼女の好物で、思い入れのある料理らしく我慢していた。

しかし今日の俺には耐えきれなかった。

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい、ごめんなさい、ごm───う"っ」

うわ言を繰り返す壊れたラジオの腹をぶん殴ってやる。

重い悲鳴をあげ壁に吹き飛ぶソレは、血を吐き出した。

鬱憤の溜まっている俺からしたら、それは興奮させる材料以外の何物でもなく、

「がっ…ッ!ごほっ!ごほっ!う"ぇ…ッ!や、やめてください…!なの…」

殴る度に弱々しくなる彼女がストレス発散には都合良かった。

なんせ人一倍丈夫らしく、いくら殴っても死にはしないからだ。

「ゴミがよ、今度からまともな飯作れよな。オイ聞いてんのか!」

「は、はい!…なの………ごほっ!…」

「ったく使えねー女だなァ」

リビングまでこのサンドバッグ引き摺り、飯を温めるよう命令する。

「…わかりました」

ソレはふらつきながらも立ち上がり、晩飯の準備を進める。

「…チッ!おっせぇなァ!さっさと作れやゴミがよォ!!!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

定期的に舌打ちしてやると早く行動するので意図的に舌打ちし、叱りつける。

それから数分して、飯が整う。

「…クチャクチャ」

「い、いただきます…なの…」

「ガツガツ!ハフハフ…クッチャクッチャ…」

「…いただきますの挨拶はしてほしい…なの…」

は?

「あ?また殴られてェのか?」

「なんでもないです!お食事の邪魔をして申し訳ございません、なの…」

一々人をイラつかせるガキだな。

「…はー。俺もう満腹だから残り棄てとけ」

「え!器には少し残っt───」

「こんなゲロマズい飯食えっつってんのかァ!?棄てろっつってンだろオイ!!」

「…はい」

渋々従い彼女はミートパイの残骸を流しに棄てる。

「オイ、灰皿取ってこい」

食後の一服にと、タバコに火をつけながら命令すると、

「灰皿はこの前あなたがリリィの頭をそれでぶったときに壊れちゃったの…」

ああ、そう言えばそうだった気がする。

どうしようかと少し悩むと、ピンと代案が浮かんだ。

「ちょっとこっちこい」

「…?わかったなの…」

ニヤニヤ笑う俺に怯えながらとてとてと近付くリリィ。

そのリリィの腕を掴み前に引っ張る。

「いっ…!いたい…です………なの…。なにを…するんですか…?」

「ハハ、おもしれえ事してやるよ」

そういって彼女の腕を掴む手の逆の手で咥えたタバコをつまむ。

「ま、まさか…!」

そして、そのまま火のついたタバコを純白の肌に押し付ける。

瞬間、

「う"っ、あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」

「熱い熱い痛い痛い痛い痛いいぃぃぃぃぃぃィィィィ!!!!!」

妖精は幼子とは思えぬ悲鳴をあげながら暴れまわる。

しかし体格差等覆せる筈もなく、暴れはすれど掴んだ手は離されない。

泣き叫ぶ彼女を尻目に俺はタバコを手の甲に押し付け続ける。

押し付けた部分の皮膚がジクジクと変色していき、まだ白い肌とコントラストを描き出す。

肉の焼ける油の香りに少し鼻孔をくすぐられ、掴む手を離してやる。

「ほらよ」

やっと自由を手に入れた妖精はドタバタとリビングを転がり苦しんでみせる。

「痛い痛い痛いいいぃぃぃぃぃぃ!!!」

しばらくのたうち回ってから、ソレは徐々に落ち着きを取り戻し、激しく肩で呼吸をする。

何かボソボソ呟いている様で、近付いて耳を澄ませると、

「ごべんなざい、ごべんなざい、ごべんなざい、ごべんなざい…」

涙と鼻水で顔をグチャグチャに歪ませながら、必死に謝罪していた。

なかなか楽しませてくれるじゃないか。

「泣いてばかりいねぇでまだすることあんだろ。オイ」

「ごべんなざい、ごべんなざい…」

「聞いてンのか?あン!?」

「ごべんなざい、ごべんなざい、ごべんなざい…」

また自分の世界に籠ってしまったようだ。

「仕方がねェな」

立ち上がり台所に向かうと、大きめの鍋に水を注ぎ、加熱し沸騰させる。

その間も、

「ごめんなさい、ごめんなさい…」

ソレは一切変わらぬ調子で繰り返していた。

グツグツと音をたて鍋の水が煮えたぎると、俺は鍋を持ち上げソレの元へ向かう。

そして、その鍋の中の煮えたぎる熱湯を。

───バシャン!

「ギ、ギャアアアアアアアアアァァァァァァ!!!」

再び転がり回るソレは、身体中にまとわりつく熱湯を撒き散らしながら暴れ狂った。

「オラァ!!!」

更にそれを蹴り飛ばす。

華奢な身体は再び宙を舞い、壁に叩き付けられる。

美しく整った顔が血を含むあらゆる体液で覆われる。

壁際でビクビクと激しく痙攣する色白の肉塊は次第に動かなくなった。

「あーあ、失神しちまったか」

いつもコイツは失神して終わる。そろそろ成長してほしいが。

とはいえいいサンドバッグが手に入った。

コイツは前世がどうの、騎空士がこうのと訳のわからんことを言っていたが、都合が良いので話を合わせたら着いてきた。

ここまでやっても俺の元を離れない訳を聞いた時も似たようなことを言っていた。

クリスタリアとかいうのがどうとか、助けて貰った恩返しだとか。

全く、最近の連中は訳がわからん。

「リビング綺麗にしとけよ」

そう吐き捨て俺はリリィを残し寝室へ向かう。

明日も仕事頑張ろう。